「税理士って何?」と聞かることがよくあります。
その後かなりの確率で「司法書士とは違うの?行政書士ってどんなんだっけ?」と聞かれます。
よく会う友達からも「平河って何しよるんやったっけ?行政書士?社労士?」と覚えてもらえないことも多いです。
「平河くんすごいよね。社労士として立派に独立して」とか「知り合いが会社作ろうとしとるけん、良い司法書士さんおるよって紹介しとくよ」とか。うれしいけど、微妙に間違っていることもしばしば。
事業をされている方はなんとなく違いは知っていると思うのですが、サラリーマンの方はごっちゃになっている人もかなりいると思うので、各士業※の違いについてまとめてみたいと思います。
※〇〇士とつく職業をまとめて士業といいます。
ちなみにうちの母も「税理士事務所」を「ぜいりじむしょ」と間違って覚えてしまい、いつも会話に違和感を感じてしまいます。
目次
〇〇士じゃないとできない業務があるけど、みなさんそれぞれの専門知識を生かしていろんな仕事をしています
各士業の違いの前に、お伝えしておきたいのが、「〇〇士じゃないとできない業務があるけど、みなさんそれぞれの専門知識を生かしていろんな仕事をしている」ということです。この辺もごっちゃになる原因のひとつかもしれませんが。
各士業それぞれ多くのクライアントと接しているため、色々な業界に精通しています。もしくは特定の業界に特化している方もいます。そういった経験を生かしてコンサル的な業務を行ったり、本業+コンサル的なスキルで違いを作っている方が多いです。
以下、無償独占とか有償独占とか、細かい話は置いておいて、それぞれの士業がどういう仕事をしているのかざっくりとご紹介していきます。「税理士が各士業に依頼する代表的なケース」について書いていきますが、これが全てではないので、予めご了承ください。
ちなみに独占業務とは、ある業務に対してある資格を持った人しかできませんと決められているものです。有償独占とは、無料だったら資格の無い人がやってもいいけど、お金をもらったらダメですよ。無償独占とは、無料でも資格の無い人はやったらダメですよ。という決まりです。
司法書士
登記に関する専門家
僕たちの業種が司法書士さんに依頼するケースとしては、不動産の登記や会社の登記です。不動産の登記を多く受けている司法書士さんは、不動産業界に詳しく、会社の登記を多く受けている司法書士さんは、ビジネスについて詳しいイメージがあります。会社の設立は新規開業だけでなく、子会社設立や移転の登記もあるため、スタートアップだけでなく、ある程度軌道に乗ってからの事業についてもアドバイスをしてもらえることもあるでしょう。
不動産の登記は相続の際にも必要になるので、相続についての一般的な相談も受けてくれると思います。
社会保険労務士
労務に関する専門家
僕たちの業種が社労士さんに依頼するケースとしては、給与計算、社会保険の手続き、就業規則の作成、労務問題の相談などがあります。今は特に良い人材の確保が難しい状況なので、労務問題を解決したいと考えられている経営者は多いです。労働基準法などを熟知した専門家がきちんとルールを作っておくと安心でしょう。雇用に関しては補助金も多くあるので、補助金取得のサポートをする社労士さんも多いです。
行政書士
行政手続きの専門家
僕たちの業種が行政書士さんに依頼するケースとしては、建設業許可申請など、新たに事業を開始するときの許可申請、遺産分割協議書、各種契約書の作成など。最近は相続税の申告対象になる人が増えていることもあり、遺産分割協議書の相談を入り口として、信託の活用など様々な問題解決の手段に詳しい方もいらっしゃいます。
税理士
税金に関する専門家
税金って本当は「私の利益はいくらです。なので私の税金はいくらです。」と自分で計算して税務署に申告するようになっています。それを代わりに行うのが税理士です。事業をやっている人だけでなく、相続税や不動産を売買したときの税金の計算など、一般の方と関わることも少なくありません。
自分の専門分野なので関連業務についても詳しく書いていきます。
経営コンサル
色々な事業の方と話をし、会社の内部資料を見るので、経営についてのノウハウを持っています。もちろんその業種の専門家はクライアント自身ですが、お金という観点から経営についてのアドバイスをすることができます。
ある事業をはじめようとすればいくら必要なのか、いくら借入が必要なのか
このままいくと、いつ資金繰りが厳しくなるのか
どれくらいの売上をあげればどれくらいお金が手元に残るのか
2店舗目を出店するにはどういう経営をしていけばいいのか
人を採用しようと思うが、どんな人材を採用するといいのか
など、将来を予測して計画を立てることができます。
今、早期経営改善計画といって、事業計画を作ることに対してそれにかかる費用の2/3を国が補助してくれる制度があります。事業に問題を抱えている方、顧問税理士はいないけど経営の相談をしたいという方は活用されることをお勧めします。
資金調達のサポート
事業をはじめるときだけでなく、新たに出店しようとする場合、資金繰りの悪化など、資金調達の相談は多くあります。銀行が貸すか貸さないか、いくら貸すのかというのは会社の状態もありますが、「本当に返していけるのか」「計画性はあるのか」という点が重視されます。
税理士は普段からクライアントの経営についてのシミュレーションを行う機会が多いので、資金調達の際にもお力になれることは多くあります。
補助金取得のサポート
補助金も資金調達の一つの方法です。事業計画が必要な補助金申請のサポートも税理士の専門性が発揮できる仕事です。
個人的には経験不足な分野ですが、今後は力を入れていきたいと思っています。実績作りのためにしばらくは格安で受けていこうと思うので、気になる方はご相談ください。
保険代理店
私も日本生命とベル少額短期保険の代理店をしているのですが、事業をしている方は万が一に備えた事業保障、相続の問題を抱えている方は相続対策など、税理士が保険について検討する機会は非常に多いです。
個人的にはクライアントのお付き合いのある方、私の周りの保険のプロフェッショナルを優先しようと考えていますが、税理士自身で保険にめちゃくちゃ詳しく、ライフプランニングをされる方も多くいらっしゃいます。
ITコンサル
税務申告を行うために会社のデータを預かって会計データを作成するのですが、そもそも「会社のデータ、内部資料を上手に作ることができない」というクライアントもかなりいらっしゃいます。税理士事務所の人たちは少なくともExcelは上手に使える必要があります。
個人的にはクラウド化、ペーパーレス化、業務効率化に関心があるので、ITをうまく活用することを付加価値として提供していきたいと思っています。
後半が完全に宣伝になってしまいましたが、どんな場合に誰に頼んだらいいのかイメージしてもらえたら幸いです
普段関わることの多い士業についてご紹介してみました。それぞれ専門分野がありますが、業種業界に詳しい方は専門分野以外にも有益なアドバイスをしてくれることがあります。〇〇士といっても本当に色々な方がいるので、自分に合った方を探してみるといいのではないでしょうか。
業種業界という枠組みだけでなく、新規開業に詳しいとか、ITに詳しいとか。
なじみのない内容について士業の方とやり取りしなければならないので、「話が分かりやすい」とか「話しやすい」とか、単純に「話がおもしろい」というのも選ぶポイントのひとつです。