貸借対照表と損益計算書をざっくり解説。新規開業者、開業予定の方向け。

昨晩はデータマックスさんにお誘い頂き、天神モノリスのビアガーデンに行ってきました。色々なビジネスをされている方が参加されていたので、自分や周りの方々のビジネスとつながることができたらいいなと思いますが、ビジネス抜きでも単純に楽しい会でした。


今回は貸借対照表と損益計算書についてざっくり解説してみたいと思います。

貸借対照表と損益計算書は、どちらも事業の状態を示すものです。何も書類が無ければ、実際に働いていないと事業の状態は分かりません。しかし、事業の状態を外部の人にも示さないといけない場合があります。

中小企業の場合は

  • 銀行…融資をしても大丈夫?
  • 国(税務署)…税金は正しく計算されている?

大企業になるとその他に

  • 投資家…投資したら儲かるかな?
  • 取引先…取引しても問題ない会社かな?

この他に事業の状態を示す書類を必要としているのは(外部の人ではないですが)

  • 経営者自身

ある程度の規模の会社であれば、社長が事業の状態を把握するためには、経理が作成する貸借対照表や損益計算書、その他事業の状態を示す補足資料が必要となります。
規模の小さい会社や個人事業の場合は、自分で経理をされているケースも多いですが、これらの書類を正しい数字で作成していないと、誤った判断につながる恐れもあります。

貸借対照表と損益計算書

会計データを作成する(=仕訳を入力する)と、貸借対照表(BS)と損益計算書(PL)が作成されます。

貸借対照表は財政状態を示す表で、損益計算書は経営成績を示す表です。

世界のトヨタを例に見ると

注)イメージしてもらうために細かいところは無視しています

貸借対照表

単位が百万円なので、
現金及び現金同等物が2兆9000億円
未収入金(これから入ってくるお金)が4300億円
土地が1兆3000億円
機械装置が11兆円
持っているということを示しています。これら資産の合計が48兆円です。

逆に負債は

色々細かく分かれていますが、負債合計は30兆円です。
ざっくりいうと、資産を48兆円持っていて、負債が30兆円あるので、会社の財産は18兆円ということになります。

家計でイメージすると、財布の中のお金と銀行に預けているお金が2兆9000億円あって、来月入ってくる給料が4300億、土地が1兆3000億円あって、洗濯機や冷蔵庫など11兆円、住宅ローンとクレジットカードの未払残高が30兆円あるという感じです。

平河家と同じくらいですね。

損益計算書

売上が27兆円、売上原価(車を作るためのアルミや部品代、製造ラインの人件費など)が21兆円、販売費及び一般管理費(営業社員の給料、社屋の賃料など)が2兆8000億円。
売上から売上原価、販売費及び一般管理費など経費を差し引いた税金等調整前当期純利益が、2兆1000億円。そこから法人税等6200億円を支払っているということが分かります。

八百屋でいうと、売上が27兆円、野菜の仕入で21兆円出て行って、店舗の家賃やパートさんの給料で2兆8000億円支払って残った利益から6200億円の税金を支払っているということになります。

細かいところは無視して説明するとこんな感じです。

貸借対照表と損益計算書の関係

貸借対照表が財政状態を示すもので、損益計算書が経営成績を示すものだとイメージできたでしょうか?

損益計算書は、売上から売上原価や販売費及び一般管理費を差し引いて、どれくらいの利益が出たのか示されていました。売上よりも、売上原価+販売費及び一般管理費の合計額が大きければ、利益はマイナス、つまり損失ということになります。

貸借対照表は、現金がいくらあって、土地がいくらあって、ということが示されていました。現金は利益が出れば増えますし、土地も買えます。逆に損失が出れば、現金は減りますし、場合によっては土地も売ることなるでしょう。

何が言いたいかというと、「貸借対照表は損益計算書の結果が表れる」ということです。

さらに

貸借対照表に「機械装置」という項目がありました。機械の性能が良ければ、良い商品を作ることができて売り上げが伸びます。省エネ性能が高い機械であれば、経費削減につながります。利益を出しやすくなるということです。

つまり、「貸借対照表も損益計算書に影響を与える」ということです。

言い換えると、財政状態は経営成績の結果を表し、財政状態は経営成績に影響を与えるということです。

正しい会計データの作成は要領をつかめば意外と簡単

貸借対照表や損益計算書は日々の仕訳から作成されます。

仕訳とは

100円のりんごを現金で仕入れました

仕入 100 現金 100 摘要:〇〇商店 りんご

これです。

もちろんこのりんごの仕訳だけできればOKではないですが、日々の取引の種類を分類すれば、それほど多くの種類にはならないはずです。
摘要欄はメモみたいなもんですし、支払方法が振込なら現金が普通預金に、掛仕入であれば現金が買掛金に変わるだけ。カードで仕入れるのであれば現金が未払金に変わるだけ。

日々これを入力していけば貸借対照表と損益計算書は出来上がります。

はじめにどういった取引の種類があるのか整理して、その仕訳を覚えること。分からない仕訳がときどき出てくると思いますが、その時は調べたり聞いたりすれば済みます。一年に何十回もあることではありません。

ただ… 日々の取引は膨大な量になります。いかにここを効率化できるか。単純に入力のスピードを上げるだけでなく、クラウド会計を使って自動で仕訳を作ってくれる仕組みを作ったり、決済方法を見直してみたり。
事業が軌道に乗るまでの間は、経理に時間と頭を使う暇はないはずです。軌道に乗ってからは、誰かに任せることができればいいですが、そうでない場合は、やはりりんごの仕訳に時間と頭を使うのはもったいないことです。

なるべくこれらの処理に時間と頭を使わなくていいよう、経理の仕組み作りだけでもお手伝いさせて頂きます。