雇用契約か委託契約か。フリーランスや副業をしている方の確定申告のスタートライン。

私の周りも徐々に、独立や副業として個人で仕事を受ける方が増えてきました。
現時点で個人で仕事を受けていなくても、自分のもつノウハウを会社以外でも生かそうという意識の方が増えてきたように感じます。

事務所としてクラウド会計に特化していきたいと考えているため、そういった方々は積極的に応援しています。

「税理士に顧問を依頼するほどではないけど、確定申告をしないといけない」という方が相当増えるはずなので、税理士としての仕事につながるながらないに関わらず、そういった方々を支援して自分自身のノウハウも蓄積していきたいと思います。

そもそも確定申告をする理由は?

正しい税額を計算して、税金を払いすぎていれば返してもらい、不足があれば納付するためです。
給料をもらっている方は源泉徴収と言って、給料から所得税を天引きされています。しかし、この天引きされている金額は、会社が把握しているあなたの情報をもとに概算で天引きしているに過ぎません。
会社の社会保険のほかに家族の分の国民健康保険を支払っている場合、会社に伝え忘れている扶養家族がいる場合、ご自身or家族が入院して医療費が大きくかかった場合など、会社が把握できない情報を含めて計算すると、税金が安くなる場合があります。
逆に、他の会社からも給料をもらっていれば、会社はその情報を正確に知ることはできないので、確定申告をすることで税金が高くなる場合もあります。ただし、もう一つの会社のほうでも源泉徴収されていれば、給料から天引きされている税金が高すぎるケース(副収入は高い税率で源泉徴収する制度になっています)もあるので、確定申告をすることで納め過ぎた税金(天引きされ過ぎていた税金)が返ってくるケースもあるため、一概には言えません。

「一概には言えません」だと、読んでいる方々は「結局自分はどうなの?確定申告すると税金を払わないといけないの?それとも返ってくるの?」と思うでしょうし、なるべく「一概には言えません」という言葉は使いたくないのですが… 一概には言えないのです。

源泉徴収票をもってきてもらえれば明確な回答をしますので、ご相談ください。

自分は確定申告しないといけないの?

国税庁HPより「給与所得者で確定申告が必要な人」

大部分の給与所得者の方は、給与の支払者が行う年末調整によって所得税額が確定し、納税も完了しますから、確定申告の必要はありません。
しかし、給与所得者であっても次のいずれかに当てはまる人は、原則として確定申告をしなければなりません。

1 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
2 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
3 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注) 給与所得の収入金額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。

ひとつの会社で従業員として働いている方

基本的には年末調整といって、年末に会社対して、扶養の状況や家族の分の社会保険料の支払、保険料の支払状況などを伝えて正しい税額計算してもらい、毎月給料から天引きされている所得税との差額を精算してもらうので、確定申告をする必要はありません。
ただし、医療費控除は年末調整では計算してくれないので、家族全体の医療費が大きくかかったなーという年は、確定申告をすると税金が戻ってくるかもしれません。

ふたつ以上の会社で従業員として働いている方

「年末調整」は一か所でしかできないことになっているため、二カ所以上の会社から給料をもらっている方は、基本的に確定申告をする必要があります。ただし、副業の方の収入が年間20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。

会社から給料をもらいながら、個人的な収入がある方

ここでいう「個人的な収入」とは、社員やバイトとしての給料ではなく、例えばクラウドワークスを使った報酬だったり、委託契約を結んでの講師としての報酬だったり、ブログでの収入であったり、ネットショップでの収入などです。
そういった収入がある方々は、収入から経費を差し引いた金額が年間20万円を超えるのであれば確定申告が必要となります。

委託契約を結んでの講師としての報酬であれば、経費は交通費や教材くらいなので、年間の講師報酬から交通費等の経費を差し引いて、年間20万円を超えれば確定申告をする必要があります。ネットショップをされている方であれば、仕入や在庫を保管するための賃料、回線料など、経費も様々発生します。収入からそれらの経費を差し引いて、年間20万円を超えれば確定申告をする必要があります。

雇用契約か委託契約か

ネットショップをご自身でされている方であれば、それが給料なのか個人的な収入なのか迷う方はいませんが、講師や外注として仕事を請け負っている方は、判断に迷うケースがあるようです。

給料としてもらっている収入であれば、領収書を保管しておくということは必要ありませんが、「個人的な収入」であれば、経費を計算するために、また、経費として証明するためにも領収書を保管しておく必要があります。

源泉徴収票や給与明細が発行されるかどうか

確定申告をするうえで、源泉徴収票は絶対に必要な書類です。これが発行されるのであれば、その収入は給料としての収入です。発行されない場合や支払調書という紙をもらう場合は、その収入は給料ではなく「個人的な収入」となります。

源泉徴収票は通常年末から年明けにかけて発行されるため、先に給与明細や契約書類を確認しましょう。給与明細が発行されていれば給与ですし、念のため契約書類を確認して、「雇用契約」とあれば給与となります。「委託契約」などの文言があれば「個人的な収入」となります。

確定申告しないといけないかも…という方はご相談ください

今後、会社という枠組みにとらわれない働き方は加速していきます。何となく「確定申告はめんどくさい」というイメージはあると思いますが、実際めんどくさいと感じることでしょう。
ただし、今は国税庁のHPも進化していますし、クラウド会計を使うことでかなり手間を省くことができます。

  • 通帳の管理
  • 領収書の保管の仕方
  • クレジットカードの使い方
  • 経費の考え方
  • クラウド会計の導入

など、お役に立てることもありますので、お気軽にご相談ください。
効率的なツールを上手に使うことができる税理士に相談すると、「なんだ、そんなもんか」と思ってもらえるかもしれません。