個人事業主が税理士に依頼するメリットって?

顧問税理士がいない個人事業主の方から税務相談を受けると「税理士さんに頼んだほうがいいんですかね?」という質問を受けます。

絶対税理士に頼むべきです!!特に僕とか!!

「人による」というのが正直なところです。

借入もなく、生活に困らない程度の経営状態で、自分で調べる時間と、ある程度のITリテラシーがあれば、便利な世の中なので税理士に頼まなくても問題ない人もいます。

今回は個人事業主の方が税理士に依頼するメリットについて書いていきます。

法人の場合は、自分で決算を組むのは難しいし、役員報酬の適正額なども知っておく必要があるので、頑張って自分でやろうとせず税理士に依頼されるほうがいいでしょう。

税理士に顧問を依頼するメリット

時間を節約する

会計ソフトを使って自分で経理をする場合、次のような時間がかかります。

  • 日々の取引を会計ソフトに入力する時間
  • 分からないことを調べる時間
  • 会計ソフトの使い方が分からず調べる時間
  • 決算処理のやり方を調べる時間
  • 正しく申告できているかチェックする時間

大きく分けると、調べる時間と入力する時間ですね。

僕自身も経理未経験から税理士事務所で働き始めた当初は、今思うと信じられないほど時間がかかっていました。(当時の上司や同僚の方々には本当に申し訳なく思います・・・)

この「調べる作業」と「入力する作業」が得意な方であれば、税理士に依頼せずに自分で入力や決算を行うことも大きな負担にならないかもしれません。

この「時間」と、その時間を事業活動に使ったときの「リターン」を比較して、依頼するかどうか判断することも一つの方法です。

そもそも「経理は誰かに任せたい」と考えている方であれば、人を雇って経理をする際の人件費と税理士報酬を比較して判断するといいでしょう。

正確性を担保する

自分で経理から申告までされている方で、「正しい会計処理ができている」と言える人は少ないのではないでしょうか。

正しい会計処理ができていないことによるデメリットは

  • 税務調査の際に追加で税金を払わないといけなくなる
  • ペナルティとしての税金も払わないといけなくなる

といった「調査が入った場合のデメリット」だけでなく

  • 不正確な財政状態、経営成績の情報により経営判断を誤る

という、目の前の税金の話ではなく、事業を成功に導くことができるかどうかの判断材料という側面のほうが、むしろ重要でしょう。

「数字のことは自分でなんとなく把握している」という方も、「その数字は正しいですよ」という確証が得られたほうが、迷いなく経営判断ができることでしょう。

計画的な経営ができる

税金は、個人事業の場合、利益の15%以上となります。

こんなに重要な数字を事業計画に入れずに「計画的な経営ができている」とはとても言えないでしょう・・・

個人事業の場合は特に、利益に応じて段階的に税率が上がる仕組みですので、税率15%の人は20%に、20%の人は25%に、少しの利益の差で税率が上がってしまいます。

「税金高すぎ!」という声はよく聞きますが、その割に事業計画においては軽視されているケースが多いように感じます。

経営について学ぶことができる

小規模な事業の場合、大企業と違って、本に書いているような経営指標はなかなか当てはまりません。
じゃーどうすればいいのかというと、自分の事業、お店の特殊性を踏まえたうえで数字を見ていく必要がありますが、これは本やネットで学ぶことは困難です。

税理士から数字についての説明を受け、疑問点をたずねるという中で、一般論ではなく個別の事情を踏まえたうえでの経営指標を作り上げていくことが大事ではないでしょうか。

経営上の悩みを幅広く相談できる

経営をしていると悩みを話す相手を選ばないといけません。

従業員さんが一番身近な存在ですが、経営上の話をすることは何かと制限があるでしょう。
同業者や異業種の経営者であれば似たような悩みを抱えているので、良い相談相手になります。しかし、自社の数字をオープンに話すことはためらわれます。場合によっては、事業活動に影響してしまうことも。

税理士なら良くも悪くも全てを見られているので、良い相談相手になるのではないでしょうか。
ただし、税理士もいろいろなので・・・ 何人かの税理士と話してみて、話しやすいと感じる人を選ぶといいでしょう。

融資の際に有利になる

融資の際は、決算書などの書類と面談で融資できるかどうかを判断されます。

決算書などの書類については、ご自身で作ったものと税理士が作ったものでは信頼度は違います。
面談においても、金融機関からの質問に対してきちんと説明するための準備が必要です。税理士と日ごろ数字についての話をしている人とそうでない人では説明にも違いがでるでしょう。

借入が必要な理由、返済していけるという根拠を書類と言葉で示すために、税理士は力になれます。

結局「税理士に依頼したほうがいいのかどうか」

人によります(最初と同じ結論ですいません笑)

ただ、税理士との関わり方は色々あります。

  • 確定申告だけ依頼する
  • 毎月の経営状態を見てもらう
  • 隔月、四半期、半年ごとに経営状態を見てもらう
  • 会計ソフトの使い方だけ教えてもらう
  • 融資の際だけスポットで依頼する

慣れるまで税理士に依頼して、自分でできる自信がついたら自分でやるという方法もあります。
自分に合った関わり方で、なるべくコストを抑えて税理士に依頼するという方法をとられるのがいいのではないでしょうか。