今回はサラリーマンや年金生活のおじいちゃんおばあちゃんにも関係がある「医療費控除」について書いていきます。
病院代などの医療費が、年間約10万円以上かかったら、確定申告をすることで、給料や年金から天引きされている所得税の一部が返ってくる。さらに翌年の住民税が少し安くなる。
(ちなみにこの医療費には、お子さんや両親など扶養家族の分をまとめてOKです。)
という制度です。
「どうせちょっとしか税金戻ってこんのやろ」
「領収書をとっておくのが面倒くさい」
という方々も、これから年末までの間に、思いがけず病院代が大きくかかってしまう可能性もゼロではないので、一応領収書をとっておいてください。
もちろん健康であることが一番ですが(^^)
「年間10万円いかんけん医療費控除は受けられんのやろ?」
と聞かれることも多いのですが、所得が低ければ年間の医療費が10万円以下でも医療費控除が受けられる場合があります。
一応領収書をとっておいくださいね(^^)
目次
年間いくらくらい病院代がかかったら医療費控除が受けられるの?
年間10万円以上医療費を支払っていれば医療費控除を受けることができます。
所得が少ない人は、年間10万円以下でも医療費控除を受けることができる場合があります。
だいたい年収300万円ちょっとくらいであれば、年間の医療費が10万円以下でも税金が返ってくる可能性があるので、領収書は捨てずにとっておきましょう。
いくらくらい返ってくるの?
いくら返ってくるかは、その人の所得税率によって変わるため、なんとも言えません。
また、扶養家族の人数などによっても変わってきます。
あくまでも目安ですが
年収500万円で扶養親族がいないサラリーマンの場合
- 返ってくる税金(所得税)
(年間の医療費-10万円)×10%
- 翌年安くなる税金(住民税)
(年間の医療費-10万円)×10%
所得が低ければ返ってくる税金はもう少し少なく、所得が高ければ返ってくる税金はもう少し多くなります。
手術や入院など特別なことがなければ意外と返ってくる金額は少ない・・・
「こんだけしか返ってこんと?」と言われる方もけっこう多いです。
例えば家族全体の医療費が月に1万円だった場合、年間12万円です。
なので、実際にいくら税金が安くなるかというと。
- 返ってくる税金(所得税)
(医療費12万円-10万円)×10%=2千円
- 翌年安くなる税金(住民税)
(医療費12万円-10万円)×10%=2千円
返ってくる税金と翌年安くなる税金を合わせても、合計で4千円にしかなりません。
「いくら返ってくるやろかー」と、わくわくした表情で確定申告を依頼してきたおじいちゃんが、返ってくる金額を聞いてがっかりする
という光景をよく目にしたのですが、返ってくる金額が多いということはそれだけ医療費を払っていたということなので、がっかりすることはないんですけどね(^^;
特別なことがあるかもしれないので領収書はとっておいてください
健康が一番ですが、不意に病気になることもあります。
そんなときに、少しでもお金の負担を減らすため、領収書は一応とっておいてください。
こんな場合はかなり税金が戻ってくるかも
- 美容目的ではなく治療のための歯科矯正
- 美容目的ではなく治療のためのインプラント
- 不妊治療
これらは医療費が高額であるため、返ってくる金額も大きくなることが多いです。
先程の例で歯科矯正で80万円かかったとしたら
- 返ってくる税金(所得税)
(医療費80万円-10万円)×10%=7万円
- 翌年安くなる税金(住民税)
(医療費80万円-10万円)×10%=7万円
合わせて14万円も税金が安くなります。
医療費は自己負担部分が対象
自己負担部分とは、健康保険が負担してくれる分や高額医療給付金などを差し引いた金額が医療費控除の対象となります。
また、個人で加入している医療保険から給付金が入れば、それも差し引くことになります。
入院した場合には、医療保険の入院給付金や高額医療給付金を差し引いた金額。
手術をした場合には、医療保険の手術給付金や高額医療給付金を差し引いた金額。
出産の場合は、出産一時金などを差し引いた金額。
医療費が返ってくるのではなく税金が返ってくる
けっこう勘違いされる方が多いのですが、確定申告で医療費が返ってくるわけではありません。
天引きされていた税金が返ってくるんです。
なので、給料や年金から税金が天引きされていなければ返ってくる金額はありません。
返ってくる税金(所得税)がなくても翌年分の住民税は安くなるので、確定申告をされたほうが得です。
医療費控除を受けられるか分からない、いくら税金が返ってくるか分からない。でも一応領収書をとっておく。
「分かったような分からなかったような」という方が8割くらいでしょうか・・・
いくら税金が返ってくるかは、年末年始に発行される給与や年金の源泉徴収票を見ないと何とも言えません。
さらに、12月末までの間にいくら医療費がかかるのか?
これも誰にも分かりません。
領収書を捨ててしまっては、医療費控除が受けられるのかどうか分からないので、捨てずにとっておきましょう。
1月になったら確定申告を
若い方はパソコンで「国税庁 確定申告」と検索してください。
「確定申告作成コーナー」というページが出てきます。
下記の必要書類を手元において、画面の指示に従って進めていったら自分でできる人も多いのではないかと思います。
年配の方やパソコン操作が難しい方は、税務署や区役所などで無料相談会が開かれていますので、下記の必要書類を持って行かれてください。
無料相談会は、日によっては数時間待たされることもあるので、なるべく自宅のパソコンでされることをお勧めします。意外と簡単なので。
サラリーマンの必要書類
医療費の領収書
高額医療給付金や入院給付金などの金額が分かる書類
勤務先から発行される源泉徴収票
追加で控除する書類があればその書類
還付金の受取口座の情報
印鑑
マイナンバーカード
年金生活の方の必要書類
医療費の領収書
高額医療給付金や入院給付金などの金額が分かる書類
年金機構から発行される源泉徴収票
個人年金の支払証明書
保険料控除証明書
健康保険料の支払金額が分かる書類
還付金の受取口座の情報
印鑑
マイナンバーカード