会計データのチェック方法で最も大事なこと「残高を合わせる」について

小林麻央さん、心よりご冥福をお祈り申し上げます。

私も、身近な方が若くして病気で亡くなられた経験があるので、その時のことを思い出しました。


今日は会計データのチェック方法について解説したいと思います。

帳簿が合っているのか間違っているのか、残高が合っていなければ確実に何らかの間違いがあります。

残高が合っていないとどうなるの?

売上の計上もれや、経費の計上もれなど、利益の金額が変わってきます。税金は利益をもとに計算されるので、税金の金額も変わってきます。
税金は納税者自身の申告に基づき計算し、納付するので、後から間違いが分かれば、延滞税や加算税といったペナルティとしての追加の税金を払う必要が出てきます。

残高が合っていないとは?

貸借対照表と損益計算書について先日の記事で紹介しましたが、この「貸借対照表の数字が実際の金額と合っているかどうか」チェックしましょう、ということです。

今回はMFクラウドを例にご紹介します。

会計帳簿→残高試算表をクリックすると貸借対照表が開きます。

  • 「選択期間」でいつの時点の貸借対照表を表示するか指定。入力が完了している時点を指定しましょう。
  • 「当月残高」がその月末の時点の残高を表します。

まだ何も入力していないので、前期残高(スタートした時点の金額)がそのまま1月末の残高となっています。

入力をしていくと緑の□のところに増減が表示されます。

資産の部であれば 前期残高+借方金額-貸方金額=当月残高
負債の部であれば 前期残高-借方金額+貸方金額=当月残高

となります。

新規開業の八百屋さんを例に解説していきます。

スタート時の状況は次のとおりです。

  • 現金…10,000円
  • 普通預金(福岡銀行)…1,000,000円
  • 車両運搬具…500,000円
  • 借入金…1,000,000円
  • 未払金(車のローン)…500,000円

100万円の借入をして、そのお金がそのまま福銀の口座にある。
車は50万円のローンで購入し、まだ返済が開始していない。
財布の中には1万円ある。

という状態です。

事業の概要は

仕入は福銀からお金をおろして現金で市場から買ってきます。
売上は基本お店で現金で販売。ときどき飲食店に配達して、その際は請求書を発行して翌月に福銀の口座に入金があります。
経費はお店の家賃と駐車場代が毎月25日に引き落とされます。それ以外は車のガソリン代だけ。
車のローンは月末に引落がされます。

入力

1月の取引を入力していきます。

目の前の領収書の束、売上のレジデータ、通帳などを見ながら入力していきます。

 

貸借対照表に載ってくるのは資産(緑)と負債(紫)です。費用(橙)と収益(青)は損益計算書のほうに載ります。

 

貸借対照表をチェック

現金

手元の現金と一致してればOK。一致していなければ次のような原因が考えられます。

  • 領収書の入力がもれている
  • 領収書の入力金額に誤りがある
  • 預金から現金を引き出したときの入力がもれている
  • 現金売上の金額が間違っている

このほかにも

  • 領収書をなくした
  • 誰かが盗んだ

ということも考えられます。

お店の現金と個人の現金をきちんと分けていれば、実際の現金残高と帳簿上の現金残高の差額の理由は最終的には分かります。
きちんと分けていなければ様々な理由が考えられるため、「誰かが盗んだのではないか」とモヤモヤする事態を招くことも。
現金商売でスタッフを雇っているところは特に、モヤモヤした事態の発生を避けるためにも現金管理をきちんとしましょう。

普通預金

福銀の通帳残高と一致していればOK。一致していなければ

  • 入力した金額に誤りがある
  • 預金から現金を引き出したときの入力がもれている
  • 別の口座と間違っている
  • 引落の入力がもれている
  • 月末の引落が翌月頭になっていた

複数の口座をお持ちの場合は、「口座を間違っている」ケースが多いです。

売掛金

請求書や売掛帳のうち未入金の金額と一致していればOK。また、翌月の振込入金額と一致していれば問題ありません。一致していなければ

  • 請求書の金額が間違っている
  • 振込ではなくその場で現金で回収していた
  • 〇〇食堂が間違った金額を振り込んできた

このほかに先方が振込手数料を差し引いている場合があります。
その際は「支払手数料 324 売掛金 324 摘要:振込手数料」という仕訳を入力しましょう。

借入金

返済予定表と一致していればOK。

未払金

ローン返済明細と一致していればOK。

 

その時の損益計算書は?

個人事業の場合は自分に給料を払えないので、売上から仕入代金と家賃、ガソリン代を差し引いた47,000円が利益となります。

貸借対照表の残高が合っていれば、ある程度信頼できる数字です。逆に貸借対照表の残高が合っていなければ、高い確率で利益の金額も間違っています。

定期的な入力と残高チェックをしましょう

今回の八百屋さんはかわいい金額ですが、実際の事業ではもっと金額が大きく、決算期に支払う税金の金額も大きくなります。法人の場合は自分の給料も経費に入れられますが、個人事業の場合は自分に給料が出せません。感覚的に儲かっていなくても税金を支払わないといけないケースが多くあります。手元に現金がないのに、税金の支払が発生してしまうということです。特に注意が必要です。

面倒ですが、定期的な入力と、入力したら「残高チェック」をぜひ行ってください。

クラウド会計は要注意

クラウド会計は上手に使えばかなり経理を効率化することができます。一方で、自動的に会計データが作成されますので、気づかないうちに間違ったデータが大量に作成されているケースもあります。
そういったクライアントの方々をたくさん見てきました。口座が重複して登録されていたため、売上が2倍になっていた方も何人かいました。

クラウド会計による効率化で大事なことは

  • 導入時の設定
  • チェック

ここが上手くできていないと、だいたい「一から入力しなおした方が速い」という事態に陥ります。freeeは特に多いようですね。

クラウド会計はこれからスタンダードになると思いますし、導入できるところは導入して、ぜひ効率化して頂きたいと思っています。皆様が上手に使って頂けるようこのブログでも順次情報発信を行っていきたいと思います。

もちろん個別のご相談も受け付けておりますので、お気軽に。